マルシェ(市場) 1.

にわとりが「コケコッコー」と正しく鳴く。それも夜が明けると同時にきっかり鳴く。それを合図に街は一気に動きだす。朝の5時過ぎには店が始まるらしく、家の裏の道から始まるマルシェ(マーケット)に賑わいの気配が感じられる。(ちなみに、ニワトリは日が沈むまで何時であろうと、エネルギー全開で「コケコッコー」といちいち正しく鳴く。誰かが、「コンゴのニワトリは、時報のかわりに鳴くんだ」と、うっかり信じてしまいそうなことを言っていた。)

マーケットといっても、路上に屋台を出して果物や野菜を置いただけのものや、コーヒーを洗面器かバケツのような器から缶詰めの缶ですくって測って売っている店、肉やニワトリをむきだしで吊るして売りさばいている店、などその場かぎりの青空市場である。朝の6時に、おいしそうなにおいを漂わせて、焼き鳥や揚げドーナツを売っている女性たちもいる。

家の人たちは、朝早くだろうと食事どきだろうと、それぞれ用事で出かけたり、超マイペースなので、そろって食事をするということがあまりない、ということがだんだんわかってくる。初日、お母さんとは感激の再会、家のひとたちとも感激の対面をするかと思いきや、結局その夜は電気がつかなかったせいで、ランプのもとでの対面はいまいち顔が見えず、朝起きてみると、皆それぞれ出かけたりしていて、なんのことはない、コンゴの日常も東京とかわらず、人々は皆忙しい。

一応毎日食事をつくっているのは、お母さんかお姉さんかお嫁さんだが、税務局に働いているお姉さんは、コンゴの別の都市ポイント・ノワールに1週間出張して不在だし、お嫁さんのD子は、掃除したり3歳のS子の面倒を見たり十分忙しそうで、朝食くらいつくってあげたいが、いったい何をつくればいいかわからない。お姉さんの17歳の息子C太は、朝からヘッドフォンをテレビに差し込んでラップを踊っているが、朝ご飯は?と聞くと、「いや、僕はBouille(とうもろこしの粉でつくった、おかゆ)を買いに行くから気にしないで」と言われる。いえあの、私たちの朝ご飯は・・。

私達の毎朝の朝食は、そのマーケットで売っているベニエ(すりつぶしたバナナ入りの丸い揚げドーナツ)とコーヒーに、いつしか決まってきた。到着した翌朝、J夫はすっかり現地モードで、「朝なに食べる?僕はベニエ!」と嬉しそうに買いに出かける様子。僕は、って、ここでは朝なに食べるのが普通なんだろう?「ベニエがいいよ、ベニエ」 ベニエ好きのJ夫の要求が嵩じて、マーケットでベニエを売っている昔からの友人らしいV子さんが、翌朝からベニエを山盛り宅配してくれるようになった。

近所のマルシェは食べ物が中心の市場で、ブラザにはほかに、衣料品や雑貨店が多くあるマルシェ ド ポトポト(marché de Poto Poto)、お土産屋(外国人向け)のあるマルシェ ド プラトー (marché de Plateau)などたくさんの市場がある。車の通る道の両側には、電気製品や車の部品、雑貨屋などが色とりどりの看板を掲げ、どれもこれも「手作り」といった字体とペインティングで描かれている。

市場で興味があったのは、食べ物と衣服だが、そのほかに私は、コンゴの石鹸が気に入った。
家庭では、石鹸で手を洗う、という習慣が根付いていて、食事の前に、D子が必ず、小さいバケツに水を入れ、石鹸とコットンの手拭を持ってあらわれる。皆、必ず石鹸で手を洗ってから、食事をする。その石鹸が、いかにも「殺菌」作用が強そうなのだが、以外に香りもよく、洗ったあとも手がしっとりして、とてもいいのだ。フランスで気に入っている「マルセイユ石鹸」を買いだめしたのだが、なんと、コンゴでマルセイユ石鹸にも匹敵する好みの石鹸があらわれようとは、うれしい驚きだった。

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# by tytomoyo | 2007-03-26 17:58 | マルシェ(市場)