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カテゴリ:アフリカ文学(番外編)( 2 )

アフリカ文学 - 映画化されたJohnny Mad Dog

番外編ですが、J兄の文学紹介の続きです。

J兄の作品のひとつ"Johnny Chien Mechant" (Johnny Mad Dog)「ジョニー・マッド・ドッグ」が映画化され、なんと今年2008年のカンヌ映画祭で「ある視点」 Prize of Hope を受賞しました。

まだ原作の日本語版は出ていませんが、映画はいつか日本でも上映されるでしょうか。

カンヌ映画祭、リベリアの元少年兵たちの目線で描いた『Johnny Mad Dog』
【5月23日 AFP】リベリアの元少年兵たちを起用し、アフリカ史上まれに見る過酷な内戦における恐怖を語る映画『Johnny Mad Dog』が、第61回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)の「ある視点」部門にまもなく登場する。

「戦うことを強制された子どもたち」を描いたフランスのJean-Stephane Sauvaire監督(39)のこの作品は、コンゴ共和国の作家エマニュエル・ドンガラ(Emmanuel Dongala)の小説を基にしている。・・・・・・



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by tytomoyo | 2008-06-05 16:50 | アフリカ文学(番外編)

アフリカ文学(の周辺)

d0052090_16205836.jpgブラザヴィルの郊外にある、親戚の家を訪ねた。ここは、J夫の一番上の兄一家が住むはずで建て始めた家だが、97年の内戦後、兄一家はアメリカのマサチューセッツ州に引っ越し、現在は遠い親戚一家が住んでいる。

「おう、よく来たなあ、元気か」と歓待されて家に入ったJ夫は、部屋に入るなり、「あ、タカノさん!」と叫んだ。
タカノさん、というのは、J夫が日本で留学生だったころからの友人で、かつて早稲田大学の探検部の隊長としてコンゴに恐竜を探しにきたことがある人だ。(・・・・)
え、こんなところにタカノさんが?それも、あり得ないことでもない・・と一瞬おもったのだが、よく見ると、部屋の真中の壁に、タカノさんとJ夫の一番上の兄が握手しながらこちらをにっこり見ている拡大写真が、でんと飾ってあった。
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その家の人から詳しく写真の話を聞くことはできなかったのだが、どうやら、内戦の混乱の中でたまたま手に入った兄の写真がこれで、その家の人は戦時中に家を提供してくれたJ兄に感謝してずっと居間におまつり(?)してある、ということらしい。

コンゴでたまたま訪ねた家に、(J兄のついでとはいえ)日本人の写真が飾ってあるなんて、感慨深いというか、シックリこない、というか。これは、帰国したらすぐにタカノさんに報告せねば。コンゴでは、どこの家でも居間の壁にイエス・キリストや、マリアさまが飾ってあるが、ここの家はJ兄とタカノさんだったよ、と。。。

コンゴ大学の物理の教授だったJ兄は、いまはアメリカの大学で教鞭をとっているが、実は小説家でもある。小説のほうは、フランスなどでいくつも文学賞をとっており、北欧をはじめ十何カ国語に訳されているそうだ。昨年も、最新作がアメリカで映画化されるとのことで、ロケが始まったと聞いているし、小説のほかに戯曲も書いていて、最近もパリで上演されている、とパリでJ弟からそのチラシをもらったばかりだった。

かつてコンゴに恐竜を探しにきたタカノさんは、お金も食料もなくなって命からがらJの実家を訪ね、救出されたことでJ兄と知り合う。(とJ兄弟間では伝わっている。) 
その後、タカノさんは、日本でJ兄の小説を邦訳し、小学館から出版した(96年頃)。二人の写真はそのとき東京で撮ったものだとおもう。タカノさんは、その後は次々と、世界各地を探検しては本を執筆し、今では売れっ子作家だ。

私も、J兄の小説をタカノさんの邦訳本で読んで、すっかり小説家J兄のファンになった。こんなすごい作家が家族だなんて!と胸をどきどきさせた。その後、マサチューセッツに引っ越してきた兄一家と家族のつきあいになってからは、この作家の才能は、いつ、どのようにほとばしりでるのか!と模索して、かれこれ十年。。。 家族とはオソロシイもので、近づけば近づくほど、私の中ではこのナゾの義兄、小説とのギャップが広がっていくのである。まあ憎めないオジサンではあるのだが、奥さんの尻にしかれたりしている、のほーんとした長男で、100キロも運転してから目的地の住所を持ってくるのを忘れたことに気づいたりする、かなりメイワクな家人である。J母に至っては「まったく人のことばかり書いて・・・自分のことも少しは書けぃ!」とまで言われてしまっている、自身が話題のつきぬ人物でもある。

が、しかし、家の外では、ここ地元コンゴでも、たしかにセレブな義兄であった。ブラザヴィルでも地方都市でも、Jが初対面の人に名前を名乗ると、「あなたはもしかしてあの作家の・・・」「はい、弟です」とめちゃめちゃ受けがよくなる。旅行中もイトワさんが、私たちをいろんな人に紹介してくれたが、「。。。名前を聞けばわかるでしょうが、この人は弟で・・」「おおーっ」と高い確率で知られていて、彼の○○という小説はいいね、などと話がはずむ。

J兄の小説は、社会小説でも、歴史小説でも、私小説でもない。特定の社会的メッセージや、民族や国の生々しい苦難や歴史を代弁している、というのでもなく、アフリカに伝わる民話や伝承を世界に紹介した類でもない。独特の文学世界を展開している。これはたしかにアフリカ世界ではあるが、しかし地球のどこにいる人にも現代の読み物として読めてしまう。

ルポルタージュやドキュメンタリーや私体験でなく、「物語」として伝わる真実、というものは存在する、とあらためて思う、そんな文学だとおもう。

J兄本はこちら。
「世界が生まれた朝に 」(単行本) エマニュエル ドンガラ (著)
http://www.aisa.ne.jp/takano/books_page/dongala.html


タカノさんのコンゴ探検本。「幻獣ムベンベを追え」 (集英社文庫) 他にも著書豊富。(J兄弟との交流を書いた「異国トーキョー漂流記」 (集英社文庫)も、いつのまにか出版されていました。)おもしろいです。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087475387/aisa09-22

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by tytomoyo | 2007-05-24 15:30 | アフリカ文学(番外編)