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ミュージシャン

コンゴのお葬式を見に行ってみる?と言われて、朝6時に起こされた。

やや慣れてきたことではあるが、朝から皆、テンション高い。「近所で、この一週間、お葬式をやっている家があって、今日出棺なんだって。今日はライブ・バンドが演奏するんだよ」

とりあえず、顔を洗って、とおもったが、断水のせいで、ちょろちょろとしか水が出ない。「あ、いま水がガス臭いから、使わないほうがいいよ」と言われて、メガネとビデオカメラだけつかんで家を出る。

人が亡くなると、一週間くらい常に人が弔問に訪ねる、という話は聞いたことがあった。昼も夜も、歌ったり語り合ったり、感情激しくお葬式をすることも聞いたことがある。
なので、悲しみの現場を見るのだろう、と心の準備をしつつ、タムタムの音高く鳴り響く方向に歩いていく。

しかし、私達が見たのは、道の真ん中にハデなテントを張っておこなっている、リンガラ・ミュージック・バンドのコンサートだった。マルシェに向かう急ぎ足の人々に混じって、行き交う人々が足を止め、バンドの演奏をきいている。子ども達は、並べてある椅子を取り合ったり、ティーンくらいの子達はペットボトルを蹴飛ばしながら、20人くらいでわーっと歓声を上げて、スピーカーから響くエレキギターにあわせて踊っている。朝の6時半である。

お葬式では?なかったのか?とおもいながら、和んだ雰囲気におもわずビデオを向ける。子ども達はわーっと飛び出してきて、カメラの前で得意げに踊る。うれしそうな顔、顔。。

揃いの黄色いTシャツを来たバンド・メンバーたちが振り返り、「それ、ヨーロッパに持っていくんじゃないだろうね」と私のカメラを指さして、バンドのひとりが言う。やば。プロのバンドかもしれないし、お葬式だし(たぶん)、ビデオは禁止かも。

J夫が、「いや、僕たち日本から来てるんだ。」ふーん、と何と反応していいかわからない様子。とにかく、何かコトバを発することが、親しみを見せる手段(というか、しゃべることが人間としてみとめられる第一歩)なので、音楽、トレ・ビアン!と言ってみる。ああ、トレ・ビアンだよ、と皆少しにっこりする。

摩擦をやわらげるため、カメラはJに持ってもらうことにする。ガイジン+カメラ、という組み合わせは、警戒心を引き起こしてしまうらしい。リーダーらしき人がJとしばらく話をしている。

と、そこから、思いもかけぬ展開となる。
リーダーが唐突にマイクで言う。「今日は特別ゲストが来ています。ムッシュー&マダム・・・」なんと、Jと私の名前を言うではないか。テント内外の5、60人の人たちが、こっちを一斉に見る。
えーっ と思う間もなく、「この歌を今日のゲストに捧げます・・・」と、即興で、リズムに乗せて、マダム・トモヨドンガラ・ラ・ジャポネ~ズ、と何度も何度も、何度も何度も、歌うではないか。

朝の6時に顔も洗わず出てきて、よく見えないメガネをかけたまま、私は聴衆の視線にさらされることになった。Jは、といえば、向こうのほうで、ビデオ片手に「ウェ~イ」と手をあげながら、音楽にノッている。

ここは、お葬式なんだよね、と念のためC男に確かめる。「そうだよ。あそこで、出棺する準備してるよ。」見ると、テントに面している家の門のなかで、正装とおもわれるいでたちの人々が歩いている。このコンサートは、おそらく1週間のお葬式の余興?として近所に振舞われているもの、このミュージシャンたちは、この機会に、外国人にも名を売って、少しでもお礼かなにかをもらおうとしていたらしい、とわかったのは、それからしばらくして事態を把握し始めてからだ。

そばのスピーカーからは、リンガラ・ミュージックのエレキと太鼓とともに、「・・・ラ ジャポネ~ズ、トヨタ、ホンダ、カワサキ・・・」と、知る限りの日本語を駆使しているらしい即興ソングは続き、近所中にがんがんと鳴り響く。私はまだ、このお葬式の場でどう振舞ってよいものかと、固まったまま、朝の時間が流れていきました。

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by tytomoyo | 2007-04-16 22:58 | リンガラ・ミュージック


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