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コンゴのカフェ

J夫の甥のC男が、少しは観光地らしいところを訪ねよう、と連れて行ってくれたのが、コンゴ川沿いにある「マミワタ (Mamiwata = mammy water = 人魚)」 というレストラン。いかにも植民地時代に旧宗主国のひとがつくったというかんじ(その通りなのだが)の、コロニアル風のオープン・テラス。コカ・コーラが町のカフェに比べて3倍以上の値段である。川沿いの景色を眺めるには絶好の場所で、白い壁の建物に太陽の日差し、テラスにはパラソルつきのテーブルに生成りのコットンのテーブルクロス、籐のソファに大きいクッションがいくつもならべてある。ハイビスカスやバナナの木にゆったりと囲まれ、川のはるか向こう岸には都市キンシャサのビル群の摩天楼がうっすらと見える。

あとで、C男の奥さんのD子が、「え、どうして私を連れて行かなかったのよ、この写真のここに私が座ってるはずなのよ、こういうおしゃれなレストランに行くときには!」と憤慨していた。たしかにJ夫もC男も、おしゃれなレストランに全然興味なし、という顔で写真に写っている。まわりのテーブルにいたのは、出張で訪問中といった風情の外国人、駐在中の家族、役人かビジネスマン風の男性。地元の一般人は、いなさそうだった。

ブラザヴィルのいちばんいい場所にあるレストランが外国人御用達、というのは、東京でいえば、皇居の脇の唯一のレストランが外国人用、みたいなかんじか。C男やJ夫でなくとも、地元人がおもしろくないのもわかる気がする。

「マミワタ (Mamiwata)」がヨーロッパ人御用達なら、その川沿いをずっと上流に登っていったところにある「レ・ラピッド (Les Rapides)」は、もう少しカジュアルな観光名所だ。同じく、コンゴ河を見渡すリバーサイド・カフェ。ブラザヴィルの領事館のアメリカ人も、「ランチによく行くよ」と言っていたこのカフェは、地元の人もたくさん訪れる。コンゴ人の生活の一部ともいうべきリンガラ・ミュージックが、ボリューム大でかかっているレストランだ。

私達は、Les Rapides の二階のテラスで、ピーナツやエビの串揚げをほおばりながら、カフェにやってくる人たちのファッションを見物。ほとんどの女性は普段着でも超カラフルだが、人前にでるときのおしゃれのしかたはハンパじゃない。ものすごくたくさん生地を使ってそうなドレス、ハイヒール、バッグ、いろんな装飾のついた帽子、つけ毛、カツラ、メイク、ネイル・・ 

特筆すべきは、男性で頭から足の先まで超キメてるひとたち。地元のひとは、「sapeur サッポー」と呼んでいる。「ほんまにこの暑いのに、スーツ着込んで、なに考えてんねん」と言いながらも、皆サッポーたちを見物するのが大好き。イタリアやフランス製の生地でつくったスーツに、ハット(帽子)をかぶり、日が暮れても気にせず黒いサングラス。ぴかぴか光る靴。ちょっと見ると、パリやNYのジャズ・ミュージシャンに見えなくもない。なにより、パリのファッション情報に敏感なひとたちだ。面白いのは、パリで人気の「Takeo Kikuchi」や「Yoji Yamamoto」「Kansai Yamamoto」など、日本のデザイナー・ブランドは皆知っている。

サッポーたちも、人に見られることが目的でおしゃれしているので、人の目など全然気づかないフリをしながら、実は人の視線を十分浴びるように、カフェの中を行ったり来たりする。たまに度をこして、ジャケットの前をひらひら開けて、内側のブランドのタグをわざわざ見せる、わかりやすいサッポーもいるらしい。

残念ながら、群集の前でカメラを向ける勇気がなかったので、人々の写真はありません。


Mamiwata
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by tytomoyo | 2007-03-30 17:27 | カフェ、レストラン


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