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ブラザビルに着くと、そこは停電だった。

パリから南下すること8時間、いよいよブラザヴィル・マヤマヤ空港に到着した。

そこは熱帯の風がやんわりと吹き、ココナツの木が立ち並ぶ南国。人々はゆったりと陽気に出迎えてくれ・・・・

というのを想像していたのだが、実際にはまず、空港からして騒々しいことこの上ない。
人と荷物とが縦横に動き回って、その上、空港の職員だか出迎えだか区別もつかない人々でごった返している。人の頭越しに声を張り上げている人がいる。緊急だから叫んでいるのではなくて、どうも遠くの人と挨拶みたいな会話をしているようで、叫びながら笑い声が混じる。

「1日に飛行機が何本も到着しないからね。ビッグイベントなんだよ」とJ夫が説明する。
だったら、もうすこし周到に準備して待ってれば、と思うのは日本人の理屈であって、ここではただ現状把握に努めなくては。税関はこっちですか?と私達が係員らしき人をつかまえて言うと、わかっている、ちょっと待つんだ、てなかんじで誰かを呼んで、なんと税関ゲートの鍵をこれから探すらしい。

空港内は、おそろしく忙しそうに歩き回る人で、殺気立っている。そもそも、どの人が空港職員なんだかわからない。税関の鍵を探している人は、ロサンジェルス・レイカーズの背番号つきのランニングを着ているし、隣のガードマンみたいな制服の男性は、ランニングシャツから何か指示されている。

荷物受け取りの場所に行くと、騒ぎはますます大きくなっており、お客よりもポーターたちが我先にと荷物を待ち構えている。一見誰もがきびきびと働いているように見える。が、頼みもしないのに荷物をおろして、次々積み上げている。ほかのポーターに邪魔だ、ここに置くな、といわれて、しばらく口論したあと、20センチくらい動かす、という動作を繰返しているに過ぎないことが、よく見るとわかってくる。かたや乗客が、ダンボール箱やら、ガムテープぐるぐる巻きの紙袋やらを運ぼうとして、ビリビリ破ってしまって、そこらへんに広げている。
こういうのを「しっちゃかめっちゃか」というんだっけ、と、全然聞きとれない言語にまじって、やや語感が似ていなくもない日本語が浮かんできた。
やっと私たちの荷物をみつけると、J夫はもうすっかり殺気モードになって、「たのんでないっ」とポーターの手から荷物を奪い返す。

空港から出てわかったのだが、街は停電で真っ暗だった。
暗闇の中なのに、J夫は、甥のC男と奥さんのD子、3歳の娘のS子を難なく見つける。私には初対面の彼ら。以前から話だけは聞いていた彼ら。「やっと会えたね-、よく来たねー」と出迎えてくれる。でも、暗くてよく見えない。
「週に1、2回停電になるんだよ、この国は。あと1時間くらいで電気、つくはずだから」

D子がタクシーをつかまえて、荷物を見せ、値段の交渉をする。ようやく乗り込み、夜の市街に走り出す。ところどころ、自家発電をしているレストランなどが見えるが、あとは信号も止まったのか、もともと信号や街灯なんてほとんどないのか、道も暗い。が、人はたくさん外にでている。
車が行く道の両側には、店がならんでいる、らしい。電気が通っているカフェらしき店からは、強力に明るい照明と、強力にボリュームアップしたファンキーな音楽が、スピーカーから流れている。どこも、ビーチパラソルとプラスチックの白い椅子がたくさん並べてあって、これで明るければ、海辺みたいなかんじかもしれない。あとは暗闇に人がわさわさといる気配と、人々が話したり叫んだり笑ったりする声だけが響き渡っている。

信号も停電?と私が聞くと、J夫が「ブラザに信号はあるかって。」と言って、車中全員わっはっはと笑う。
by tytomoyo | 2007-03-26 17:42 | コンゴ到着


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